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COLUMN

経営資源としてのブランディングとデザイン

今、人類誰もが経験したことのない状況の中で、今後はますます、輪郭がぼやけているブランドは淘汰されていくことでしょう。
今こそ、ブランディングに取り組み、ブランドの輪郭を描き、社会にしっかりと存在を刻み込むときが来ました。
これを機に改めてブランディングについて綴っていきたいと思います。
今回のテーマは『経営資源としてのブランディングとデザイン』です。

 

近年、欧米では「経営とデザインは切り離せないもの」とする考えが主流となっています。
日本でも、こういった欧米諸国の事例を調査した「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告を経済産業省と特許庁が取りまとめ、2018年に【「デザイン経営」宣言】が発表されました。

 

これは、デザインは企業が⼤切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みであり、イノベーションを実現する⼒になる。デザイン経営とは、デザインを企業の経営戦略の中⼼に据え、重要な経営資源として活⽤し、ブランド⼒とイノベーション⼒を向上させる経営の姿であるという提言です。「デザイン経営」と呼ぶための必要条件は、以下の2点であるとも提言しています。

 

経営チームにデザイン責任者がいること

事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること

 

つまり、チームには併走できるクリエイティブパートナー(デザイン責任者)が必要であり、デザインは事業戦略の一環であり最終的なアウトプットではない、そこに投資したお金は、経費ではなく資産になり得るということです。
デザインはブランド戦略のゴールではなく入口。事業がある程度、固まってからブランディングやデザインに力を入れるのでは遅いのです。
ブランディングに取り組むに早すぎることはありません。
ブランドが育つには、それなりの時間がかかります。
ブランディングは、ファンを作り、売れ続ける力を育みます。ブランディングが確立しているブランドは、ファンとの間に信頼関係が構築されているので、プロモーションをしなくても勝手に売れ続けるのです。
もし、あなたのビジネスやプロダクトが勝手に売れ続けているのであれば、デザインの有無を問わず、ブランディングに成功していると言えるでしょう。

PYGは何故、突き抜けたデザインやブランディングにこだわるのか?

ビジュアルにおける正解はブランドによって異なりますが、それでもなお、世界観で魅了する突き抜けたデザインやブランディングに何故こだわるのか?
私たちが突き抜けたブランドと出会うときというのは、不意に出会うことの方が多いのではないでしょうか?
「あ、なんかいいかも!」と無意識的に良いと思えるもの、それは潜在意識の世界での影響が強く働きます。
目に見えているものは全体の4%前後です。残りの96%は深層意識の世界です。
実は、深層意識の領域にこそ、真の意思や本質が隠れています。


突き抜けたブランドと出会うとき、私たちは奥底に眠る真の欲望に気づくのです。
それは吸引力があり、中毒性があります。こうして根強いファンは生まれます。
根強いファンがいることはブランドにとって事業における資産です。

 

例えば、ファンメイクに成功しているミュージシャンが、
『これからは環境問題に力を入れたいから、地球環境に優しい洗剤のブランドを作りました!』
となっても、ファンならば、洗剤はどのみち必要だし、どうせ買うなら…と、そのミュージシャンのブランドの洗剤を買うでしょう。
早い段階からブランディングに取り組み、デザインを事業の中枢に据え、確実にファンを育てていく。
これは、これからの時代に必要な経営戦略の一つです。

 

皆さんのブランドにおけるブランディングやデザインの位置付けはいかがでしょうか?
真のブランディングにはデザインが必要不可欠であり、デザインはブランド戦略のゴールではなく入口であること、そしてそれが資産になり得ること、これらが伝われば幸いです。

 

次回はPYG独自の視点から描くブランディングの根幹について触れていきたいと思います。それではまた!