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COLUMN

自然(じねん)で在ること

此処には特別なことなど何もない。
人間の力が及ばない自然があって、それにただただ感謝するだけ。

 

雨音の中にかすかに聞こえる鳥の声に耳を澄ます。
一枚一枚の葉に滴る雨水。
その雨音が幾重にも重なり、また自然(じねん)な音が生まれる。

 

自然(じねん)とは「人為が加わらない、本来そうであるもの」を指す。
いつからか人間は”自然は自分たちのためにある”という思い込みをしてしまった。
自然が人間に教えてくれるものは、じねんであり、本来あるべき姿の投影なのだろう。

 

自然(じねん)に生きはじめると、自然界のリズムと同調していくのを感じられる。
命を生み出す女性の体には月経という28周期のリズムがある。
それは潮の満ち引きでもあり、月の満ち欠けでもある。
これは決して偶然ではなく、人間を生み出した神が自然(じねん)であることや自然界の敬意を気付かせるために人間の体の仕組みの中に忍ばせた暗号なのかもしれない。

 

湖のほとりでの暮らしを求めて北海道という土地に辿り着いた今日この頃。
先住民であるアイヌ民族にいて調べていくうちに、アイヌ語には「ワリウネクㇽ~人間を生み出した神」という言葉まで存在することを知った。
北海道のような過酷な自然環境であればあるほど、自然に敬意を払い、対等に向き合いながら暮らさないと、人間は生き延びれない。アイヌの人々はそれをわかっていたのだろう。
アイヌの人々は、動物、植物はもちろん、自分たちが普段食べているもの、人間が生み出したもの、道具や着ているもの、世の中のすべてのものに魂が宿っている、すべてカムイ(人知の及ばぬもの、神のような存在)が与えてくれたものという考えのもと、常にカムイの存在を感じながら感謝を捧げながら暮らしていたそうだ。だからこその言葉がアイヌ語には多数存在する。

 

いま、感じてることを言葉にし、想いをしたためる。
今日の言葉は、
『人間の力が及ばないところでその恩恵を受けることに感謝をして自然(じねん)で在れ。』